うわじま・メディアラボ地域クラブ|連携ミーティング
地域クラブと地域産業をつなぐ
株式会社宇和島プロジェクトとの連携ミーティング
|株式会社宇和島プロジェクト
中学校部活動の地域展開が徐々に始まっています。この動きを単に学校の部活動を地域へ移すだけで終わらせず、子どもたちが地域の仕事や人に出会い、自分の将来を考える新しい学びの機会にできないか——。その可能性を探るため、特定非営利活動法人 宇和島NPOセンター、一般社団法人コミスクえひめ、株式会社宇和島プロジェクトの関係者が集まり、意見交換を行いました。

部活動の地域展開を「地域のチャンス」に
学校の部活動が地域展開されていく中で、これまでにない活動を地域の大人や企業と一緒につくれる余地が生まれています。水産業、農業、商業、文化、デジタル技術など、宇和島には学校の教室だけでは学びきれない多くの仕事と知恵があります。
会議では、子どもたちが地域の産業を見学するだけでなく、取材、商品や企画の提案、広報、販売体験などにも関わりながら、仕事の面白さと難しさ、そして地域の中でお金が動く仕組みを学べる活動にしたいという方向性が共有されました。
子どもたちに完成した答えを教えるのではなく、地域の大人と出会い、課題を見つけ、自分たちで考え、試し、発信する。その経験自体を地域クラブの価値にしていきます。
地域との接点が、若者の帰郷につながる
株式会社宇和島プロジェクトからは、宇和島で水産分野を学び、県外へ進学した学生が、再び同社での研修を希望しているという嬉しい事例が紹介されました。その学生は高校時代にも同社で研修を経験しており、地域を離れた後も、宇和島の水産業とのつながりを持ち続けていました。
中学生や高校生の時期に地域企業や現場で働く人と出会うことは、すぐに就職へ結びつかなくても、将来、地元へ戻る選択肢を持つための土台になります。地域の大人が何を考え、どのような仕事をし、どのように困難を乗り越えているのかを知ることは、若者が自分の進路や生き方を考えるうえでも大切です。

うわじま・メディアラボが担う「発信と反応」の循環

「うわじま・メディアラボ地域クラブ」では、中学生が地域の人、活動、歴史、文化、産業、防災などを取材し、文章、写真、音声、動画などを使って発信します。さらに、高校生や宇和島出身の大学生にも関わってもらい、年齢を越えて学びをつなぐ仕組みを目指しています。
- 地域の人や企業を取材する
- 取材内容を整理し、日本語と英語でまとめる
- Web、ラジオ、動画配信などで発信する
- 地域内外や海外から感想・質問を受け取る
- 反応を振り返り、次の取材や発信へ生かす
大切にしたいのは、発信して終わらないことです。自分たちが取材した宇和島の話題に、地域外や海外の人が関心を示してくれる。その反応を受け取ることで、若者自身が「この地域には伝える価値がある」と実感できる循環をつくります。
水産業と世界をつなぐ交流の実例
会議では、株式会社宇和島プロジェクトが進めている国際交流の事例も共有されました。米国の大学から来日中の調理分野の学生が、宇和島の養殖・加工・流通の現場を学び、地元で水産を学ぶ高校生と食を通じて交流する取り組みです。

また、米国の小売店で宇和島産養殖マグロの解体ショーが行われ、多くの来場者を集めている様子も紹介されました。地域では日常的に目にする水産物や技術が、海外では大きな関心を集めることがあります。こうした海外からの反応は、地域産業の価値を別の角度から見直すきっかけになります。
8月の国際オンライン交流に向けて

うわじま・メディアラボでは、2026年8月29日午前に、米国で開催されるイベント会場と宇和島をつなぐオンライン交流を計画しています。参加する若者たちは、宇和島を紹介する短い英語メッセージや、海外の参加者へ投げかける質問を準備します。
現地では、宇和島からのメッセージや質問をQRコードで紹介し、寄せられた回答や感想を持ち帰ります。その反応を若者たちが整理し、Web記事やラジオなどで地域へ返していく予定です。
さらに、9月に予定されているクルーズ船の宇和島来航に向け、海外から訪れる方々へ地域の魅力を伝えるカードや案内資料などを、若者たちと一緒に考える案も出されました。海外へ情報を届けるだけでなく、宇和島を訪れた方との接点をつくることも、今後の活動テーマの一つです。
水産・農業・科学を横断するアイデア
意見交換の中では、ドローンや通信基盤を活用したスマート農業、耕作放棄地の活用、農産物の未利用部分を養殖用飼料へ生かす可能性など、水産業と農業を横断するアイデアも出されました。
例えば、地域の中学生が科学やデジタル技術に触れ、ドローンによる測量や地域課題の調査に関わることができれば、学びと仕事、地域貢献をつなぐ活動へ発展する可能性があります。これらは現時点では構想段階ですが、地域クラブが多様な専門家や事業者と出会うことで、新しい学びが生まれることを示す提案となりました。
善意だけに頼らない、続けられる連携へ
一方で、企業や地域の方々との連携を、無償の協力や一部の人の熱意だけに頼って続けることはできません。企業には本来の業務があり、社員の勤務時間や役割にも配慮が必要です。地域クラブ側にも、指導者への適切な対価や活動費を確保する仕組みが求められます。
そのため、最初から企業へクラブ運営全体をお願いするのではなく、取材の受け入れ、学習テーマの提供、専門的な助言、成果へのフィードバックなど、無理のない関わり方から始めます。その成果を広報や地域産業の発信にも生かしながら、将来的には協賛、共同企画、活動収入などを含む持続可能な形を検討していきます。
AIは「答え」ではなく、考えるための補助に
取材メモの整理、文章構成、要約、英語表現などでは、AIの活用も想定しています。ただし、AIをそのまま答えとして使うのではなく、考えを整理するための補助として扱います。出力内容の事実確認、取材対象者への公開前確認、個人情報や企業情報の適切な管理を行い、安全な使い方を学ぶことも活動の一部です。
今回の会議は「スタート」
今回は、具体的な事業内容や役割分担をすべて決める場ではなく、それぞれの経験、課題、アイデアを持ち寄り、連携の可能性を確認する最初の機会となりました。
まずは、うわじま・メディアラボ地域クラブの若者たちが株式会社宇和島プロジェクトの仕事や人を取材し、その魅力を地域内外へ伝えるところから始めます。小さな実践と振り返りを重ねながら、子どもたち、地域企業、活動を支える人々のすべてに価値が返る連携を育てていきます。